消費者とは、「国民」の別名とも言える概念です。
日弁連は、1989年9月16日の人権擁護大会において、「消費者被害の予防と救済に対する国の施策を求める決議」を行っていますが、この中で、次のように消費者問題の本質や対策を指摘しています。
「1960年代からの経済拡大政策がとられる中で、わが国では、薬品や食品、あるいは消費生活用品の欠陥による被害、不実表示・ヤミカルテル等による不公正取引被害、現物まがい商法・霊感商法等に代表される様々な欺瞞取引被害、また、クレジット・サラ金被害等深刻かつ多様な消費者被害が多発した。これらの被害を生み出す社会経済体制は改善されず、姿を変えつつ、今日なお被害は多発し、救済の実現も極めて困難な実情にある。われわれはこれまでの被害救済の経験から、基本的人権としての消費者の権利は未だ確立されておらず、わが国の立法・行政・司法における消費者保護の諸施策は諸外国と比して極めて不十分であると考える。ここにわれわれは、「消費者は、その消費生活のすべての場面で、安全および公正を求める権利が保障されるとともに、その実現に参加する権利を有する」ことを確認し、その権利の実現のため、国に対してすみやかに次の施策を講ずるよう求めるものである。」
としたうえで、消費者が事業者と対等の地位を回復するため、安全かつ公正な取引の確保に関する規定被害の予防および迅速な救済をはかるための規定
・これらの施策の策定および実現に消費者が参加する権利を保障する諸規定を中核とする消費者法を制定すること
・従来の縦割り行政、後追い行政の弊害を除去し、消費者の立場に立った総合的統一的な消費者行政を推進するため、消費者庁を設置すること
・簡易迅速な被害救済・立証負担の公平をはかるなどの消費者に開かれた裁判制度を導入すること
などを提言しています。
今から、20年も前の決議ですが、その内容は今日の消費者問題にそのまま当てはまります。
私はこの消費者問題に取り組むことをライフワークにしています。